古民家再生について
先祖代々、家族を見守ってきてくれてきた古民家には、家族の思い出や伝統、当時の息づかいなど、風情豊かな趣があふれています。本来であれば、そのまま住みつないでいけるのが理想なのですが、生活スタイルの変化、時代の流れ、家族構成の変化とともに、間取りや設備の不便さが目立ってきてしまうのが現実です。そのつどそのつど、修理や修繕を繰り返し、継ぎはぎのようになってしまっている事も多くあります。白蟻の被害や雨漏れもあり、建替えてしまった方が早いとなってしまうこともあるでしょう。
それでも、この思い出の詰まった家を残したい!!との想いを叶えることができるのが古民家再生です。
現代の新しい技術と古き良き伝統技術を融合させることにより、次の100年へ住みつなぐことができる家へと生まれ変わります。
伝統工法による木組みの美しさを活かしつつ、老朽化した箇所や蟻害にあった箇所をしっかりと補修や耐震補強を行い、現在のライフスタイルに合った間取りや動線、設備を整えることで、古民家を凛とした住まいへと生まれ変わらせるのが『古民家再生』です。
私たちは、家の状態をしっかりと見極め、お施主様にとって価値ある再生プランをご提案するために、事前に細かな調査をいたします。家の傾きや沈下などの調査だけでなく、耐震診断を行い、しっかりと構造補強を施しますので、先祖代々受け継がれてきた我が家の寿命を延ばすことができます。
建築後50年以上が経過した建物の事を古民家と呼ぶことも多いのですが、昭和25年の建築基準法の制定時にすでに建てられていた『伝統的建造物の住宅』すなわち伝統工法による建てられた住宅を古民家と定義されています。この伝統工法は、金物を使わず木組みのみで住宅を建築する工法で、釘やボルトなどの金物の代わりに貫(ぬき)などを使って緊結されているため、揺れを吸収する力があり、柔軟性に富んだ工法とされています。
この伝統工法で建てられた古民家の醍醐味と言えば、太い大きな梁。大きな梁が威風堂々と横たわっているのが古民家ですね。もう一つ重要なのが、大黒柱。郊外に多い田の字型の間取りには、家を支える立派な大黒柱が多くみられます。この梁と大黒柱を活かしたプランを提案することが建築士としての醍醐味でもあります。 現代の新しい技術と古き良き伝統の技術を融合することで、伝統工法という構造に合わせつつ、住人のライフスタイルに調和した快適な住まいにすることができます。発想の転換と柔らかな知恵を必要とするため、建築士、現場監督、携わる職人のスキルが試されます。